静岡家庭裁判所 昭和41年(少)1013号 決定 1966年9月06日
少年 D・H(昭二一・九・八生)
主文
本件を静岡地方検察庁検察官に送致する。
理由
罪となるべき事実
少年は的屋○○一家の組員であるが
一 昭和四一年八月○○日午後一一時頃、静岡市○○町○の○△△有料ガレージ前路上において、○井○吉(一八歳)に対し「俺の話を聞いていないのか」といい乍ら矢庭に同人の睾丸を足蹴りにし、更に左手で顔面を殴打して暴行し
二 右日時場所に於いて、○崎○明(二三歳)を呼びつけ、同女が同僚と話をしたことに因縁をつけ「三人を引止めて時間をつぶす気か、この野郎店をぶつつぶすぞ、店へ行つて暴れてやるぞ、お前の顔へ傷をつけるぞ、俺は昔うんと暴れた、俺はやると言つたことは必ずやるぞ」等と怒鳴り、同女の身体に危害を加えるような気勢を示して同女を脅迫し
三 同日午後一一時三〇分頃、右場所に於いて、右○崎○明の仲介に入つた○間○夫(一九歳)に対して「お前どうしてそんな事を言うのだ、俺に説教するのか」と怒鳴り乍ら矢庭に同人の顔面を左手拳で殴打し、更に左大腿部を足蹴りにする等の暴行を加え、同人に対し顔面打撲傷、左大腿部打撲傷により全治一週間を要する傷害を与えたもの
である。
適条
一の事実につき 刑法第二〇八条
二の事実につき 刑法第二二二条一項
三の事実につき 刑法第二〇四条
本件は、昭和四一年九月三日(土曜日)当裁判所において事件受理がなされ、同日観護措置の決定がとられて、翌々日たる五日審判部に記録が引継がれた(翌日は日曜日のため)。
しかるに、事件送致書の記載によると本件少年は、昭和二一年九月八日生となつており、右七日限りで少年は二〇歳を超えることになる。されば、このような極めて短期間の間に審判のための充分な調査は到底できない、言いかえれば、いかに調査を急いだとしても、これが終らないうちに少年は二〇歳以上になることは明らかである。
このような場合には、決定時においては未だ二〇歳未満であるとしても、なお少年法第一九条第二項にいう「本人が二〇歳以上であることが判明したとき」にあたるものとして処置するのが妥当であると考えるものであるから、少年法第一九条第二項を適用して主文のとおり決定する。
(裁判官 岡本二郎)